自閉症スペクトラムの息子が動画を撮影したいと初めて意思を伝えてくれました

子供の撮影記録

大好きな踏切を撮影したいと意思表示

小学校に入学し、まだまだ言語もおぼつかない息子。
毎日会話をしますが、親である私達にも「ん?何を言っているのだろう?」と考え込んでしまう事も多い状態でした。

そんなある日のこと。
息子の口から、「踏切の動画を撮影したい」と確かな意思表示を私達に伝えてくれました。

一般的に小学2年生ともなれば、会話のコミュニケーションもスムーズですが、自閉症スペクトラム(知的障害の分類)の息子には、本人の意思や感情を言語で正確な表現は困難なレベルです。

それが、確かに私達に分かる言語で、ハッキリと伝えてくれたのです。

急な出来事で思わず感激してしまいましたが、意思表示に対し、私達も答えなければなりません。
至極当たり前に、「どんな踏切を撮影したいの?」と質問で返します。

息子は携帯電話の動画を私達に見せてくれました。

言語に弱点があった息子でしたが、確かな成長を感じ取れた瞬間を今でも忘れられません。

次は、行動に移していきます。
私達親ができることは、本人の意思で実際に行動に移す為の補助です。

散歩もできて、できるだけ閑静な場所を選択。

実際に動画撮影の日を迎えます。

監督の意識は全くないと思うのですが、撮影は家の中からスタート。『ママ。あっちから歩いてきて!』と指示出してました。普段から携帯電話で動画配信を見てますから、本人としてはなんとなくイメージがあるようでした。

家から出るところから本格撮影

編集は私(父)の役目だったので、子供にはオープニングの撮影を撮るために協力してもらいました。 これが本人自覚ある模様で『お父さん!コレでOK?』 どうやら役者気分のようです。

本人としても動画の出来上がりを意識しているようでした。

コミュニケーションが取れて当たり前だと思われるかもしれません。
しかし、自閉症スペクトラムと診断を受けた息子は、本当に言語が弱く、会話のコミュニケーションが困難でした。

何気ない「お父さん!これでOK?」という言葉を発するだけでも、親としては涙がこぼれ落ちそうになります。

初めての撮影に選んだ最大の理由とは?

場所の選定には息子の意思も含め、安全かつ、教育もできる環境の踏切にしました。

かなりコアな踏切を選びました。これは本人がお気に入りの踏切ベスト20に入る内の4ヶ所。

自然豊かな場所で、電車の本数も1時間に2本。
東京都は奥多摩町にあります、奥多摩駅、白丸駅周辺沿線の踏切4ヶ所です。

この4ヶ所を選んだ最大の理由は、子供の意思に応えるとともに、周囲への注意力を養う事が目的でもあります。

子供の特徴でもありますが、特に自閉症スペクトラムである息子の場合、点に向かって走り出す、いわゆる周りが見えなくなる傾向が非常に強いのです。

親の呼びかけにも反応を示さない時は全てがシャットアウトされている状態で、音への反応、周囲の環境変化に対応できません。

道路の変化、歩道の変化、踏切が何故あるのか?など、当たり前ができない息子の教育にも繋げられる訳です。

息子が踏切に興味・関心を抱く理由は?

何故、息子が踏切に興味があるのか?
これには、いくつかあるようです。

1つ目は踏切の赤く点灯するランプ。
正確には、【踏切警報灯】と呼ばれています。

カンカンと鳴り響き、赤く点滅する踏切警報灯に目線が向いている事が確認できました。

2つ目は、踏切のポールの形状と色合いです。

踏切に対し、息子は「この踏切カッコいいなぁ。」「この踏切は眉毛があるんだよ。」などの表現をします。

これらの言語から、踏切ポールの動作や、立ち姿に強い関心を持っていることがうかがえます。

3つ目に、踏切警報灯が作動している間に電車が通過する瞬間。

通常、間近で聞くとかなりの騒音レベルになりますが、音に弱い息子も何故か、踏切の音には関心があります。

推測の域ではありますが、電磁波、音波などの目に見えない波長のようなモノが、息子の脳に共鳴しているのではないかと考えています。

初めての撮影を終了して

撮影終了して子供の顔を見るとやはり疲れているようでした。

でも『また違う踏切に行きたいんだよ。』と子供の口からガッツある発言。

この時私は思いました。『やはり、発達障害は“障害”じゃないよな。病気でもないし、確かに健常者と比較すれば劣る。でも個人差あれども確実な成長を感じる。“関心=得意分野”で、“偏り=障害”ではない。』

関心の強い踏切探索に撮影、そこに教育を組み込ませて、子供の反応や変化は殆ど感じられませんでしたが後の、動画編集した素材を見せて変化が現れました。

普段は自身の目で見た世界を中心に、狭い視野で観察しているようです。編集した動画を見せてから、カメラ越しの記憶と自分目で見た記憶が違った角度で脳が判別してるようでした。

具体的な変化として、

  • ココはこうじゃないほうがよかった
  • 撮影の仕方ちょっと違う
  • 場所はここが良い

以前は、自分の目で見た事だけに集中していたので視野(ここでは感性を含む意味で)が非常に狭かったのです。

一点に集中しすぎて回りが本当に見えなくなる子供の視野が、広くなってきているようでした。

恐らく、この感性、感覚は大多数の方が感じない事だと思いますが、私には動画を見ながら子供の発する言葉一つ一つに小さな成長と変化を感じ取りました。

息子が初めて撮影した踏切探索動画はコチラ

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